今回の記事は「ブラック企業と塾業界」について。
実は僕は3年前の2月まで4年間塾講師をやっていました。
 
実は塾業界はブラック企業な要素が割とたくさんあります。
もちろん生徒の受験をサポート、志望校に合格させるといった所は非常にやりがいがあります。
 
でもその一方で、労働環境がよろしくない所があるのも事実なのです。
今回の記事では僕自身の経験や他の塾も見てきた方の話も交えて、塾業界の現状をお伝えします。
 

塾業界がブラックな理由

以下は僕が4年間実際に塾講師をやっていく中で感じたことです。
加えて、他の塾から転職してきた方もそれなりにいたので、その方たちから聞いた情報も併せて書いています。
 

長時間労働が常態化

残業してる人
これが一番かもしれませんが、他の業界と比べると平均的な労働時間は長いです
少し違うのは、出社は基本的に正午ごろ(12時~13時)が多いですが、その分就業時間も夜遅い時間帯にずれ込みます。
他の塾から転職してきた人の話も聞くと、定時の終わりが22時くらいの所が多い印象です。
 
かつ授業後の生徒の対応もそうですし、会社によっては授業後に会議などをやることもあります。
定時で終わることはほぼないので、ズルズルと残業という状態になってしまいます。
 
あとは夏休みや冬休みなどの講習期間中は、朝から授業がある日もあります。
その時は朝8~9時に出勤して、普段通り22時くらいまで授業というパターンもあるので、12時間くらいの仕事をする事が当たり前のようにあります。
しかもこれが連日になることもあるので、ある意味講習期間はものすごく体力を使います。
 

休みが少ない

長時間労働と同時に休みがけっこう少ないです。
僕が勤務していた塾では、当時は年間休日が100日を超えることはまずなく、70~80日くらいが平均でした。
僕が聞いた限り、他の塾も似たような感じでした。
 
社長曰く、
[chat face=”man1″ name=”社長” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]年間休日100日は多いだろ![/chat]
とのことでした。

人によっては休日出勤せざるを得ない場合もあり、それを考えるともっと少ない
会社もあるかも

 
僕の友人が以前勤めていた塾では、年間休日が50日を割っていたなど(年中週休1日あるかないか、加えて残業もがっつりあった)休みが非常に少なく、 労働基準監督署の指導が入ったこともあったそうです。
今は改善しているかと思いますが、実際にあった事例です。

日数ではありませんが基本的に土日は塾の補修や特訓授業、模擬試験が入る事が多いです。
そのため平日休みが基本です。

 

アルバイトでも注意

上記は僕みたいに正社員での話ですが、実は大学生アルバイトでも注意が必要です。
というのは、まず大学生の場合は個別指導(1コマ80~90分前後)に入る事が多いです。
 
塾によりますが、多くは給料の計算をする際に「1コマ○○円」で計算することが多いです。(コマ給とも呼ぶ)
そのため、授業の準備や会議などで個別指導の授業前後に時間を取られても給料に一切反映されない場合もあります。
実際にそれで問題になったケースもありました。

参照:学生に人気の個別指導塾バイト「休めないし、辞められない」 改善求めユニオン結成

とは言え、塾のバイトは時給換算すると他の業界と比べると少し高めです。
授業前後の給料の計算に入れないから、あらかじめ高めに設定してるのかどうか・・・

 

生徒のため

先生と生徒
いろんな学習塾があれど一つ共通しているのが「生徒を志望校に合格させること」
これだけは揺るぎないことですが、時にこれが足かせになることもあります。
 
僕のケースで言うと、長時間労働で体にかなりきてたので、入社して2年くらいで既に辞めようかと思ってました。
ただ当時、受け持っていたクラスがかなり良いクラスで「この子たちの卒業を見届けたい」という思いもあり、辞めるタイミングを引き延ばし、結局そこからさらに2年働きました。

結局、人事異動で担当を外れてしまったため、卒業を見届けることはできませんでした。

 
これについては必ずしも悪い事ではありません。
時には良いモチベーションになります。
ただし、自分の人生と(言い方は悪いですが)他人とのバランスは上手くとりましょう。
 

ワンマン経営が多い

僕が勤めていた塾は、他の塾からの転職者も多かったためいろんな塾の話を聞く機会がけっこうありました。
その中で共通していると感じたのが「ワンマン経営の塾が多い」ということ。
 
僕が勤めていた塾もそうでしたが、会社の施作など授業も含めて経営に関わることについては全て社長が独断で決めていました
もちろん、最終的な判断を社長がすること自体は間違っていません。
 
ただ現場の声、状況を完全に無視しての決定はいかがなものかと思いました。
年度末の2月に社長が会議で、来年度(3月以降)の方針などを語る際に毎回社員が困惑していたのはいまだにかなり印象に残っています。

ちなみに社長ではなく、上司でもこのタイプはたまにいます。
一部ではありますが、高圧的な方が他社も含めてぼちぼちいる印象です。
大半は人当たりの良い方ですが。

 

給料が少ない・上がらない

この辺は大手というよりは地方の中小企業に関する話ですが、とにかく給料が上がらないです
また規模が小さいと、加えてそもそもの給料が少ないこともあります。
零細企業レベルだと、給料の不払いがあったという話もちらほら聞きました。
 
一つだけ良い面を挙げれば、初任給の額だけ見れば相場よりは少し高めな印象です。
僕も23歳で入社して、額面で20万は越えてました。
茨城県に限れば、業界問わず決して初任給20万越えは多くないです。
ただし初任給が高いとは言っても、僕の場合残業代が出ずその分基本給が高かったのもあります。
 
そしてそこからの昇給がなかなかなく僕は4年間塾講師をやって、1円の昇給もありませんでした
むしろ税金の関係で、手取りは若干下がりました。
 
僕の場合は教室長などの役職に就かなかったのもありますが、役職に就いても昇給は雀の涙ほどの所も多いです。
僕の10歳くらい年上の上司(当時30代後半、既婚・子持ち)が、教室長や科目のリーダーをやってたのに僕とほとんど同じ給料だった時はすごいショックでした。
リーダーシップもあり、人柄も良く人望もあっただけになおさらショックでしたね。
 
あとで聞いたら、40代半ばくらいから急激に給料が上がるシステムだったらしく、完全な年功序列な感じだったようです。
このあたりは古くからある会社に多そうですね。
 

休日出勤も割とあるある

この辺も会社によりますが、塾業界ではあるあるです。
特に教室長などの役職を持つとよりありえます。
 
これについては会社に強制される場合もありますが、そもそもの仕事量が膨大で休日出勤せざるを得ない状態の場合もあります。
意外なのが、好き好んで休日出勤をしている人もたまにいるので、業界に染まりきっているなとも感じました。
 

退職にあたって

勤め先がブラック企業の場合、いろんな意見がありますが僕は心身に深刻なダメージを受けないうちに辞めた方が良いと思っています。
退職に関して、塾業界は少し特殊な部分もあるのでその辺も紹介しておきます。

他業界への転職が少ない

塾業界で大きな特徴が、塾から他業界への転職が非常に少ないこと
僕の社内の上司もそうでしたが、一度塾業界に入ると同じ業界で転職をする傾向が非常に強いようです。
僕も塾を辞めるにあたって、ハローワークやジョブカフェで相談しましたが、塾から他業界への転職はほとんど例がないそうです。
僕も3,4年前に塾から転職活動する時は、情報が少なくて苦労しました。
 
これは事務や営業などと違って、塾での仕事がいわゆる「つぶしがきかない」要素があるからと考えられます。
事務や営業は業界を変えても、仕事内容が根本的に変わるということはあまりないですが、塾での仕事は他業界とはまるで内容が違います。
例えば商社に転職して、授業するわけもないですからね。
 
その点、塾から他業界への転職を考えている人は要注意です。
ただし他業界への転職がダメというわけではなく、例えば集団授業をやっていた方であればそのやり方をプレゼンに活かすなど、形を変えて塾でやった事を活かすことは可能です。
特に20代の方であれば、若い+伸びしろがあるのもあり未経験の業種でも意外と大丈夫だったりします。
実際僕は大学の農学部出身だったため、塾の後は農業に転職しました。
 
逆に他業界から塾業界の転職はまだ多少はあるかなといった所です。
僕の上司でも保険会社から転職してきた方もいました。
ただしそれでも他業界への転職は少数派ですね。
 

辞めるタイミング

この辺は会社にもよります。
一般的に塾は3月から新年度と、一般企業とは少し違う流れです。
また新年度と同時にどこかに配属されて、授業をする人は原則そのクラスを1年間受け持つことになります。
 
そのため生徒や保護者からすれば、例えば夏に辞めると年度途中で担当の講師が変わることになってしまいます。
引き継ぎをちゃんとすればそこまで混乱はしませんが、「辞めるなら年度末に・・・」という空気感もあります。
 
とは言えこの辺は、1年間の授業計画(シフト)を作っている場合もありますので、年度途中で辞められると会社が混乱してしまう部分も一応あります。
ただ、辞める時期に関して本来労働基準法などの法律で縛りはありません

民法では雇用期間の定めのない雇用の場合、2週間前までに退職を申し出ればOKです。
少数派でしょうが、年俸制の場合は3か月前と定まっています。

 
会社としても社員が辞めなければそれに越したことはないですが、もう少し柔軟に対応してもいいのでは?、と思います。
 

辞める流れも把握しておくといい

そして転職・退職経験のない方は辞め方が分からないと、不安ではないでしょうか。
おおよそやることとしては、

  • 上司に退職の意思を伝える
  • 退職の日を決める
  • 退職
  • 退職時または退職から10日以内に会社から離職票を受け取る
  • 離職票を持ってハローワークで手続き

というのがオーソドックスな流れです。
 
特に最初に退職の意思を伝える人は選んだ方が良いでしょう。
基本的には直属の上司が無難ですね。
同僚に言うと関係がこじれたり、言いふらされたりするのでやめましょう。
 

まとめ。塾業界はブラック企業が多い

[box02 title=”要点まとめ”]

  • 長時間労働が常態化している会社が多い
  • 休みが少なく、休日出勤もある
  • バイトでも注意
  • ワンマン経営が多い
  • 給料が上がらない

[/box02]
以上が塾業界の主なブラック企業の要素です。
もちろん中にはホワイト企業とも呼べる良い塾もありますが、業界全体で見るとまだまだブラック企業の要素が多いです。
 
塾の仕事そのものはやりがいがあるし、意義のあるものでもあります。
とは言え、ブラック企業にいつまでとどまっていても自分のためになりませんし、心身ともに負担がかかりすぎて取り返しのつかないことにもなってしまいます。
 
なので自分を大切にするためにも、ヤバい会社だと思ったらなるべく早急に辞めましょう。

※この記事はぐにらぼに書かれていた別のライターの記事を移転しています。(許可済み)