社会教育において、 公民館は、とても大切な施設になります。

ただ、この公民館ではもっぱら営利をやってはいけないっていう法律があります。

ですが、この営利っていうものの捉え方を、皆さんがどうも勘違いしていることが多いようなので、 この話を今日は取り上げたいと思います。

社会教育施設って何があるの?

まず、初めに社会教育施設というのは、どんなものがあるのかといったところから、ちょっとお話をさせていただくんですけども、これは主なものとしては

  • 公民館
  • 図書館
  • 博物館

こういうのがあります。

で、特にこの公民館というところで、いろんな講座が行われているわけです。

公民館で100円でもとったら営利となるのか?

そして、この講座で気になる点があります。

お金を取ってはいけない!というふうに考えている職員が結構多い。

そして、地域の人も お金を取ってはいけないというふうに勘違いしている方が非常に多いです。

で、これはどういう法律において、そんなふうになるのかって言うとですね。

これは、社会教育法 第23条というものに当たります。さらに、第40条41条に罰則規定があるっていうので、かなり厳しい制限を加えられているっていうものです。

じゃあ、その第23条というものは、一体どんなものなのかと言いますと、

もっぱら営利を目的として事業を行い、特定の営利事務に公民館の名称を利用させ、その他営利事業を援助すること。

社会教育法 第23条 第1項1

特定の政党の利害に関する事業を行い、又は公私の選挙に関し、特定の候補者を支持すること。

社会教育法 第23条 第1項2

市町村の設置する公民館は、特定の宗教を支持し、又は特定の教派、宗派若しくは教団を支援してはならない。

社会教育法 第23条 第2項

この禁止事項を見た時に、皆さんだったらどう感じますか?

社会教育における法律の勘違い

もっぱら営利

これは営利を目的としてと書いてありますけども、もっぱら営利を目的としてって書いてある。

これが非常に受け止め方が分かれてくるところなんです。

このもっぱら営利って何なのかっていうと、100円でも取ったら営利って言っていいのか?ってところなんです。

でもね、100円って経費なんですよ。

例えば講座が参加費が1000円とか、3000円とかであったとします。

それが講師代と経費にってなったら、これは営利か…っていうと、これは営利ではないんですね。れっきとした非営利活動です。

なぜかというと、収益は人件費や経費で全部消えてしまうからです。

特定の団体・会社に入らない。利益として残らないっていうことが、もうそもそも営利活動ではないんですね。

で、本当の営利って何かっていうと、会社や自分自身にお金がたくさん入れるために、とにかく高い値段を設定して、こんなのあり得ないだろっていう値段を設定することをもっぱら営利って言うんですね。

つまり、講座の設定がたった一回の講座で30万円とか50万円とかいう風にとっている講座。

絶対にそんなにかかってないでしょっていう値段を設定して、お金を搾取することです。

何の根拠もなく、理由もなく、 そんなに高い法外な値段を設定し、自分のお金を得るためだけに設定された値段のことです。

それがもっぱら営利って言います。

こういうのに社会教育施設が加担しちゃダメって言ってるんですね。

ちなみに普通の営利事業は大丈夫ってことです。営利事業に関しては貸館業務において高い値段を設定すれば良いのです。

社会教育は基本的に住民に開かれた自由な教育だということを忘れてはいけません。

特定の政党

で、1つありますね。

特定の政党の利害に関する事業、つまり、政党の支持に関しては特定のって書いてあるんですね。

例えば、A党、B党、C党があったとして、BとCは入らないでくださいっていう風にしてしまうのはダメですよって書いてあるんですね。

つまり、どの政党に対しても開かれていれば問題ないっていう文なんです。

特定の宗教

で、もう1つ。これも同じです。

特定の宗教を支持しているっていうのはダメなんですよ。

例えば「仏教はオッケーだけど、キリスト教はダメとかっていう風にやっちゃうのはダメです。」って書いてあるんです。

講座のオマケとなる参考書は売って良いか?問題

考えてみてください。

よく聞かれるケースみたいですが、講座のオマケとなる参考書は利益になるのか、ならないのか?って問題が公民館ではよく出てきます。

自分たちの土地の文化を学ぶための講座を公民館でやりたいという人がいたとします。

内容は社会教育になります。

参加費は500円です。でも、そうした時に2つの参考書を皆さんに買ってもらうように促したい。

1つは30分でわかる社会教育、そして、もう一つは、その土地のパワースポット100選という本です。

これを許可できますか?っていう問いです。

まぁ、参考書なので、30分でわかる社会教育っていうのは、ほぼ大体の人がオッケーを出すと思うんですね。

「参考書ならば…」っていう風になると思うんですよ。

土地のパワースポットはどうでしょう?

これ賛否が分かれると思うんです。

なんで賛否が分かれるのかっていうと、講座の内容にマッチしているのかがわかんないわけですよ。

でも、社会教育法で見る場合、実は大丈夫なんですよ。許可して良いんですね。

なんでかって言うと、販売の目的は学習を深めるためにやる参考書の販売なので、もっぱら営利でやってるわけじゃない点。

また、必ず買えって言ってるわけじゃなく、 あくまでも置いとくだけなんで、自由に買ってくださいってやつなんですよ。

社会教育法は基本的に住民ファースト

これが、本当の社会教育の法律を読み解いた結果です。

つまり、やりたいって思ってる人たちができる限り、自由でなければならないっていうのが、社会教育法なんですね。

だから、簡単に周りが止めちゃいけないんです。

基本的には基本的に止めないと思っていていい。

それが、ある特定の個人が肥えるためにとか、 私だけが幸せになればいいですっていう風に販売したいとやってるのは、アウト。

今回のケースは学習者のためにやってる。

それはオッケーってことですね。

社会教育法は誰のためのものか?をよく考えて、読み解き、よく考えて、 使いこなしていただきたいなと思います。