コミュニティ・スクールを設置する前に気になるのはメリットですよね。

「実際始まったらどんな良いことがあるの?」

「逆に始まったらどんな大変なことが起こるんだろう」

そんな意見もチラホラ聞きます。

そこで、学校運営協議会委員になり、地域とともにある学校づくり推進フォーラムの事務局をやったことがある僕がどんなメリットがあるのか?を徹底的に解説します。

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コミュニティ・スクールとは

花畑で交流する人々

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)とは文部科学省が2004年に作った制度。簡単に言うと『地域とともにある学校づくり』を推進する仕組みです。

そのために地域の代表や、専門家が年に数回集まり、より良い学校運営や、地域の将来について議論(熟議)を行い、学校運営の承認を行う制度なのです。

地域側がコミュニティ・スクールを導入するメリット

それではここからはコミュニティ・スクールを導入すると、どんなメリットが起こるのかを解説します。

地域と学校、それぞれのメリットをしっかり解説していきます。

地域の困りごとや、課題に対してしっかり把握・対応してもらえる

交通安全

コミュニティ・スクールを導入することで地域が受けるメリットの一つに、地域の困りごとや、課題に対してしっかり把握・対応してもらえるということがあります。

今まではクレームを入れるしかなかった学校運営の課題も、学校と共に話し合って解決を図れるのです。

事例:貧困家庭がお弁当を漁ってしまう(クリックして詳細を見る)
ソルティー
ソルティー

学校運営に対して地域の代表として意見を述べ、どのように地域の課題を共に解決していくか?を考えられるのは大きなメリットでしょう。

将来を見据えた大きな課題解決や、予算の確保などの可能性がある

教育委員会との話し合い

コミュニティ・スクールを導入することによって地域が受けるメリットとして、地域の将来の課題を見据えた大きな課題解決につながることです。

地域と共にある学校づくりを推進するコミュニティ・スクールですが、地域の課題はその場所によって大きく異なるでしょう。

事例:地域の過疎化を防ぎたい!(クリックして詳細を見る)

大きなことを動かす時、予算の話にもなります。今までは予算と言えば、PTA会費から使うしかなく、学校側もPTA会費をうまく使おうとして、お金を使われることもありました。

そうした時に学校や、教育委員会に地域代表として意見を述べられるのは大きな強みです。

ソルティー
ソルティー

僕のコミュニティ・スクールの会合の際には教育委員会 学務課の職員も3名程度参加しています。会合の中で予算の話になることもありました。

意見をすると無視をできず、断る場合は説明責任を求めることができる

説明会を開いて納得してもらう

地域としてコミュニティ・スクールを設置するメリットとして大きいのは発言に拘束力がある点でしょう。

今まで、PTAや、保護者として意見をすると受け取ってはもらえるものの、その意見に対する回答がない場合がほとんどでした。

しかし、学校運営協議会で議題に上がったことには責任が伴うため、意見を無視することはできず、断る場合は説明責任を果たさなければなりません。発言力としては学校評議員よりも上なのです。

そのような点では地域が学校に参画する制度の中では一番意見が通りやすいと言えるでしょう。

特色ある学校にするために教職員の任用にもこだわれる

一生懸命勉強する男子学生

地域がコミュニティ・スクールを導入するメリットとして、教職員の任用・人事にも意見を述べられるという点があるでしょう。

今、特色ある学校づくりが叫ばれていますが、これは地域の将来を見据えて「このような先生が必要だ!」と言えるのです。

なぜ教職員の任用に意見することが必要?

今後、学校の授業では、より高い専門性を求められる時代が来ると思います。それは価値観が多様化し、答えを掴みにくい世の中になったからです。

例えば「ベテラン層ばかりで入れ替わりの時期が不安です。そのために若い教職員がもっと必要ではないでしょうか?」ということも教職員任用に対する意見です。

他にも「学校では見えない力を重視するために国語や、道徳に力を入れます!」として、国語や、道徳を専門とする先生を揃えるように意見することは可能です。

ただし、教職員の任用はその人の人生にまで関わってしまう点や、一学校だけの意見で教職員の配置が決まるわけではないので、学校運営協議会でも話題に上がることは少なく、過度な期待をしないほうが良いでしょう。

教職員の任用は簡単に決まる部分ではなく、学校の目的や、ビジョンが明確に決まらないと進まない部分です。最初から任用に入るとクレームや、学校批判に繋がり兼ねないので注意してください。

地域全体の交流や、協力意識が深まる可能性がある

全員が一緒になっている図

地域がコミュニティ・スクールを導入するメリットとして、地域全体の交流の場や、協力意識が深まり、住みやすい雰囲気が作られる可能性があります。

そもそも、コミュニティ・スクールは地域が学校の運営にも参画する仕組み。一緒に取り組むとどんな良いことが起こるかはコミュニティ・スクールの意義と目的に書いてありますが、地域側との協力体制が築かれることだなと思います。

ここはコミュニティ・スクールだけの効果とは言えませんが、コミュニティ・スクールを通して何かのイベントごとや、行事、取り組みは確実に増加します。

そこに参加する人たちはコミュニティ・スクールのことを全く知らない人もいるでしょう。そんな機会を通じて、地域の輪が広がり、協力してくれる人や、意識を変わっていく人もいると思います。

ソルティー
ソルティー

実際に、僕が企画した意見交流会では保護者がやってきてプログラミング教育についての疑問などを話していってくれました。

子供たちが自分たちの住む地域を好きになってくれる

素敵な場所に来て感動する子供

地域がコミュニティ・スクールを導入するメリットとして最も大事にしなければいけないのは、子供たちが自分たちの住む地域を好きになることでしょう。

そもそも、地域というのは人がいてこそ成り立つもの。地域の過疎化が進むと、その地域はなくなってしまいます。

ソルティー
ソルティー

子どもが地域から巣立つこと自体はしょうがないのですが、どんな地域に行っても自立して生きられる人材にすることや、遠く離れても故郷を思い出してくれるというのは、重要な地域力です。

「あんな地域どうでも良い」と言われてしまうようでは、地域の良さが浸透できなかったとも言えるでしょう。

事例:地域の仕事ってどんなものがあるの?(クリックして詳細を見る)

ネットが普及した今だからこそ、どこでも働けることがメリットになり、のどかで災害の被害が少ないのは田舎の大きなメリットにもなります。

ソルティー
ソルティー

大人になってから地域の歴史に触れたり、地域の魅力に気付いたりということが多かったので、そういう地域の魅力は子供のうちから知っておくと良いなと感じています。

挨拶がしあえる、防犯性が高いまちづくりに繋がる

挨拶をしてくれる子どもたち

コミュニティ・スクールとしてしっかり機能してくると、地域学校協働本部という地域ボランティアの取りまとめ役が出てきます。

そうすると、学校には地域の人たちが日常的に出入りするようになり、子どもたちと顔見知りになり、挨拶が自然と交わされるようになります。

挨拶の原理原則

「子どもたちが挨拶をしてくれない」という意見がたまに上がります。それは当たり前で、関係性が希薄になったからです。

顔見知りや、仲良くなっている人に対しては声をかけたくなるのは人間の本能です。

挨拶をさせるのではなく、「つい」してしまうという状態を如何に作るかがポイントなのです。

事例:知らない人が来たら分かる。防犯性の高い町(クリックして詳細を見る)

この挨拶による効果は凄まじく、「近所の赤い屋根のおじさん」と覚えていたり、「知らない人が来たら分かる」というのです。

誰もがそんな状態だったとしたら、とてつもなく防犯性の高い町になるでしょう。

学校がコミュニティ・スクールを導入するメリット

学校がコミュニティ・スクールを導入するメリットもあります。

学校の課題や、現状を理解してもらえる

みんながそれぞれ納得する図

学校がコミュニティ・スクールを導入するメリットとしては、学校の課題や、現状を地域に理解してもらえるということです。

モンスターペアレントと呼ばれる保護者がなぜ生まれるのか?というのはいろいろ見てきましたが、学校の現状を理解していないというのが大きいです。

そういう点では、学校の現状を知ってもらう機会が増えたり、教職員と地域が交流する場ができるのはお互いの相互理解につながり、大きなメリットとなるでしょう。

事例:校長先生が悩み事を相談する学校運営協議会(クリックして詳細を見る)
ソルティー
ソルティー

モンスターペアレントと呼ばれる人たちも、自分の子供のためを考えての発言が多いです。そこを自分の子供だけしか見えなくなってしまうと、周りの迷惑につながっていくのです。

学校運営に対してより良い案や、策を一緒に考えてもらえる

意見を出し合ってみんなで一緒になって考える

学校がコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)を設置するメリットとしては、学校運営に対して新しい視点を加えた、より良い案を一緒に考えてもらえるという点です。

「学校としては変わらないのが一番」を信条としている学校も多いと思いますが、変わらないのはリスクでもあります。大切にしたいものは残し、改善できるものは何かしら改善を加えていきたいところです。

学校が変わりにくいと思っているポイント

学校は、さまざまな人が異動して作られるものです。残るものは行事や、取り組み、資料など。

以前から積み重ねてきたものは、「理由があって残っている」、「自分の代で終わらせるわけにはいかない」と考えている先生も多く、なぜ残っているのか分からない状態の行事もたくさんあります。「変えることはリスク」と思ってしまっている節があります。

もしかしたらできないのではなく、知らないだけなのかもしれません。

そこで、地域という新しい視点を加えることで今まで不可能だと思っていたことも取り組みをスタートできるのです。

地域には民間で働いた人や、独立開業をして、0から事業を立ち上げてきた人もいます。

どれも学校では知識が薄い分野なので、今までにはない考え方を混ぜ、より良い学校運営に繋がる可能性があります。

教職員以外の人脈が増え、学校支援ボランティア活動が活性化する

学校ボランティア活動をする青年

学校がコミュニティ・スクールを導入するメリットとしては、教職員以外の人脈が増えたり、ボランティア活動が活性化します。

学校の中にいると、学校以外の人脈が作りにくく、話をする機会すらないという先生は非常に多いと思います。

コミュニティ・スクールの意見が通るとイベントや、行事が増える傾向があったり、地域の人と話す場が増えたり、人脈が広がりやすくなると言えるでしょう。

ソルティー
ソルティー

僕のようなコミュニティ・スクールのコーディネーターがいると、地域内外から人を学校に連れてくる機会が増えます。これらの機会で先生方はたくさんの人と知り合う機会が増えるでしょう。

地域の将来を見据えた学校運営を行える

みんなで作戦会議

今までの学校運営は地域の将来や、課題を把握せず、文部科学大臣が制定する学習指導要領に沿った学校運営ばかりでした。

これは教育の『今』しか見ていない教育で、全国どこに行っても一律の教育ができるのは良いですが、特色が生まれにくくなります

子供たちが将来、地域に住むということを考えれば、大事なのは地域の課題や将来を考えた『これから』の教育をすることなのです。

その将来を見据えたこれからの教育を行うためにコミュニティ・スクールは最適なのです。

子どもたちの社会力が増す

コミュニティ・スクールになると大なり小なり、地域とともに活動することになります。

それは学校の先生以外の大人たちとの触れ合いであり、多様化した現代において、非常に大切なことです。

また、子どもたち自身がどんな学校にしたいのか?を考えたり、学校運営に関わることで、自分も社会の役に立てると社会力が大きく向上することに繋がるのです。

事例:子どもたち自身を学校運営協議会に参画させる(クリックして詳細を見る)

コミュニティ・スクールのメリットを理解し、活性化できるコーディネーター役が必要

いろんな世代と繋がり広げ合う

それではまとめです。

地域のメリット
  • 地域の困りごとや、課題を共有できる
  • 将来を見据えた教育が行える
  • 地域の声を無下にすることはできない
  • 特色ある学校づくりに役立つ
  • 学校を核にして地域の交流が生まれる
  • 子どもが自分の住む地域を好きになる
  • 地域の防犯性が高まる
学校のメリット
  • 学校の困りごとを地域に伝えられる
  • 学校運営を一人で悩まなくて良くなる
  • 教員以外の人脈が増える
  • 学校支援ボランティアが活発化する
  • これからを見据えた学校教育を目指せる
  • 子どもの社会力が増す
  • 主体的な子どもが育ちやすくなる

ここであげたメリットはコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)を設置すればこうなるわけではなく、その地域の資源を活かし、目的とビジョンを共有し、しっかりと運営しようと努力・継続した先にあるものです。

そのためには主体的に活動するコーディネーター役になる人を立てるのがものすごく大切だと感じています。

素晴らしいと言われるコミュニティ・スクールには一朝一夕ではなりませんが、これからの多様化していく社会に対応するためにやっておいたほうが良い制度ではあると思います。

ぜひ、頑張ってみてください。