今回は『主体性』というテーマを取り上げてみようと思います。

主体性とは自分で考えて判断をし、責任を持って行動する力、つまり自分自身で価値あるものを生み出していく創造的な力のことです。

皆さんは主体性がありますか?

実は、今、主体性と呼ばれる力がとても大切になっています。

なぜ、この主体性が必要なのか?

この主体性とはいったいどのようにして育っていくのかを解説していきたいと思います。

主体性はなぜ必要か?

そもそも、主体性はなぜ今、必要なのかというと、大きく2つのことが挙げられます。

急速に進む変化の時代『VUCA』

1つ目は、急速に進む時代の変化っていうことですね。今、テクノロジーがものすごい勢いで発展し、グローバル化も進んでいます。

パソコンの中やスマートフォンは100年前にはありませんでした。

明治時代の人に「インターネットって目に見えないものが、飛んでいるんだよ」なんて言ったらビックリして失神しちゃうような状態です。

これからはさらに早い速度で進化すると言われています。まさに予測不能です。

さらに世の中の気候変動、環境破壊、など地球上の生物の存続に関わるような問題も起こっています。

このような時代をVUCAと呼ぶのですが…

「VUCA」とは、社会あるいはビジネスにおいて、不確実性が高く将来の予測が困難な状況であることを示す造語である。
VUCAは「Volatility(ボラティリティ:変動性)」「Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)」「Complexity(コムプレクシティ:複雑性)」「Ambiguity(アムビギュイティ:曖昧性)」の頭文字を並べたもの。もとは冷戦後より戦略が複雑化した状態を示す軍事用語であったが、2010年ごろより、「VUCAワールド」「VUCA時代」のようにビジネスでも用いられるようになった。
VUCAに込められた4つの単語が示す通り、VUCA時代とは変動性が高く、不確実で複雑、さらに曖昧さを含んだ社会情勢を示す。

VUCAの意味とは?

このような時代だからこそ、新しい価値を生み出していかなければいけない。

つまり、今までの既成概念にとらわれていると、人類は生き残っていけないのです。

答えがない時代

もう一つは答えがない時代と言われております。

先ほども言いましたが、新しい価値を生み出すということは、 今までにない、つまり、誰が正しいか、どれが正しいかというのは、 正解が分からないっていうことですね。

いろんな状況をいろんな角度から見て、そして、自分自身がこれだという答えを導き出して行動していく。

答えを自分で作っていく時代がもう来ているということですね。そのために、主体性が必要だと言われています。

学校教育では主体性は育ちにくい

ところが、学校教育では主体性は育ちにくいと言われております。

それは、学校教育の特徴になっている3つ原因が挙げられます。

学校教育はやることがほとんど決まっている

1つ目は、学校教育はやることがほとんど決まっているからです。

学校では、子供たち自身がまず考える材料である知識や技術、そして歴史などを学んでいくことになります。

子供たちに、今までの先人の知恵を教えて、習得・体得するということは、答えが決まっていて、自分で考えなくていいということなのです。

つまり、もう答えが決まっているものを、そのまま受け取るだけでいい。

あとは、自分がそれをどれだけ上手にできるか、ただそれだけだということです。

自分で考えて生み出す瞬間があまりない

もう一つ、自分で考えて価値を生み出す瞬間というのは、学校教育にはほとんどありません。

よーく考えてみてください。担任の先生、時間割、給食、クラス分け、席替え、イベント行事…。

そして、どの学校に行くかでさえ、このほとんどは大人たちが全部決めてくれています。

子供たちが0から自分で何かを作り出すということは、ほとんどないと言ってもいいでしょう。

もちろん、まだまだ小さいから難しいってこともあると思います。しかし、そのような状況だと、主体性はほとんど育たないのです。

答えがないことに先生が不安を覚える

また、何か変わったことをやろうとか、こんなことをやってみたいと言って、何かをやり始めると、ほとんどの先生たちは止めます。

先生たちは答えがないという状況には慣れていないっていうことがあり、子どもたちがやろうとしていることは先生自身が不安を覚えます。

そうすると、

「なんでそんなことをやっているの。やめなさい」とか、
「それは良くないんじゃない?」

など、引き戻そうとしてしまうのです。

子供たちを心配してのことなんですが、学校自体のルールとしても、そのようなことに対応するっていうことが難しい。

保護者から子どもを預かっているという意識が「失敗させたら、怪我させたら大変」というマインドになってしまう。

そうすると、子どもたちが何かにチャレンジしようと思うと、非常に不安を覚えて、子どもたちを「失敗しても良いか」ができず、つい子供たちの主体性を奪ってしまう。

これが、今の学校教育では、主体性が育ちにくいという理由です。

主体性を育てる大事なポイント

では、子どもたちの主体性を育んでいくために、一体どのようにしたら主体性が育っていくのか?大事なポイントが3つあります。

過干渉をしない

1つ目は、過干渉をしないということです。

主体性を作っていくにあたって、周りが干渉するというのは、相手の思考を奪います。

何か積極的に、こちらは働きかけたいと思っても、「この人が考えてくれるんだったら、自分は何も考えなくていいかな」という風になってしまったりするものです。

なるべく自分の頭で考えて、自分の心で感じて、自分で言葉を作り出して、納得して、自分で判断をして、行動する人になる。

これを主体の形成と言います。

これを生み出すためには、できる限り、周りは過干渉しないということが、非常に大切になってくるのです。

どうしたい?と考えさせる

2つ目は、「どうしたい?」っていうことを、その子自身に考えさせていくということです。

ついつい、先生は親は「こんなのやっちゃダメでしょ」とか、「これはやったの!?」とか、「すごいね、これよくできてるね」とやってしまいます。

この他者評価は必ず、その人の視点で良い悪いってくっついています。

もちろん、それはそれで反省をしたり、嬉しくなって自己肯定力が上がったりっていうことがありますが…。

本当にその子の自信になるものっていうのは、 その子自身が考えて、自分の力でできたっていう風に思った時に、1番成長するのです。

そのためには、どうしたらいいのか?っていうことを、周りが質問し、自分で考えさせないといけない。

こっちが答えがわかってる状態であっても、その子が考えた答えっていうものを大切にするために、教えるのではなく、質問をするっていうことは、非常に大切になるでしょう。

俯瞰的な見方をする

3つ目は不観的な見方はできるっていうことです。

これは、まあ、「多様な見方ができる」とも言い換えることができるんですが、 ほかの人が言ってることを鵜呑みにしないっていうことでもあると思います。

どんなにすごい人、偉い人であっても、その場所だから、その人だから、その時代だから、その仕事だからっていうものがあります。

※もちろん、僕が書いているブログもそうです。

もちろん、参考にできるところは、大いにあると思います。

ですが、すべてのものは疑いうるという言葉が社会教育では大切にされています。

自分にとって本当に役立つのだろうか?ってことを、忘れないようにしていきたいのです。

その上で、自分で判断をしていかなくてはいけないんですけども、その判断をするためには、多くのことを学ばなくてはなりません。

しかし、 最初に正しそうな言葉を鵜呑みにしてしまったら、考えることをしなくなってしまう。だからこそ、自分で「他にもっと良い考えはないだろうか?」っていう考えるクセを付けていくっていうことが大切だと思います。

主体性を育てる取り組み

主体性をどうやって育てていくか?ということなんですけども、これは学校、 地域、家庭…この3つが揃って、初めて主体性を育てるっていうことが最大化します。

もちろん1個だけでも主体性は育つんですけども、1個だけでは育ちにくいっていうことです。

なので、学校だけに任せるのはやめて、地域や家庭も一緒になって、取り組んでいくっていうことが非常に大切になります。

学校では

学校ではどういう風にやっていけばいいかというと、まずはそんな考え方もあるよね、とまずは先生たちが認めていくことが大事じゃないかなと思います。

その心がないと、児童生徒が何かをやろうと思った時に、 つい止めてしまうんですね。

大人の都合、学校のルール、そういったもので、子供自身がやっと主体的に何かをしようと思っているのに、その芽を積んでしまうことにないようにしたいものです。

昨今の不登校っていうのは、そういう大人の都合によって何かすることを諦め、学校以外での学びに集中しています。

子どもたちが学校に行かなくなっているという現実はそういう側面もあるということを重々承知した上で、「そんな考え方もあるよね。」と認めていくことができて、初めて次に行くものかなと思います。

また、人間の主体性が1番育つ取り組みとしては、 何かを0から作り出すこと。

なので、すでにある行事を子供たち自身でゼロから作っていくのは良い経験になるのではないかなと。

もちろん、形は今まで通りのものを使ってもいいし、使わなくてもいい。それはやる人が決めればいい。っていうような行事を何かできると、子供たちにとっては大きな経験になるんじゃないかなと思います。

地域では

次に地域では、いろんなお祭り、イベント、これを積極的に行うことじゃないかなと思います。

ま、学校の行事っていうところと近いんですけど、やっぱり行事をやるっていうと、主体性が育つ可能性が非常に大きいんですね。

なので、その大きな仕事を地域の人たちと一緒になっているっていうことが 大切なのではないかなと思います。

ただ、昨今はまた、コロナで集まるのが難しく、イベント自体が中止になるっていうこともあると思います。

でも、そういった現状も踏まえて、みんなで一緒に考えると良いんじゃないかなと思うのです。

そうして、一緒にやっている仲間なんだっていうことを、子供たち自身にも少し自覚をさせていくと主体性が出てきて、「じゃ、こうしたらいいんじゃないか?」と、意見が出てくるかもしれない。

そうやって、 一緒に辛いことも、楽しいことも、どちらも一緒に経験することで、地域の一員になっていく。

子供だからといって、距離を離すんではなくて、 子供だからこそ、一緒に何かをやる仲間だというように、大人が認めていくことが大切ではないかなと思います。

家庭では

最後に家庭ですが、家庭はとにかく公園に出かけた方がいいんじゃないかなと思います。

公園に出かけると、いろんなチャレンジの場があります。

また、公園にはいろんなイベント、いろんな行事などに出くわします。こういう感動が主体性を育む栄養になっていくのかなと。

家庭の場合は、みんなで何かするっていうよりは、個人の主体性を伸ばして、自分の自己肯定感を挙げていくことにつながっていきます。

また、 そういう時に大人が一緒になって遊んであげるっていうのではなくて、 1人遊びをさせてみたり、見守るだけにして、大人はほとんど手を出さない。

「失敗しちゃっても大丈夫」って声をかける、見守る、これが非常に大切なことではないかなと思います。

もちろん、これは親をやっていて、非常にわかるんですけど、ハラハラドキドキします。

本当に「任せていいのかな」って思うのは、親として当然ですが、実は同時に子供も「これやって大丈夫かな」っていうことを経験してると思ってください。

それを一緒に乗り越えていくっていうことが、主体性の形成には非常に大切なことだなと思います。

主体の形成は自分で考えることから生まれる

このように主体の形成っていうのは我慢、親としては我慢、周りの人としても我慢が非常に大切なところだなと思います。

どういうことなのかって言うと、「私たちはこれからどうなるのだろうか」とか、「これから私たちはどうなるんだろう」って思考になってしまうと、完全に成り行き任せです。

主体性とは、「これから自分はどうしようか」「そのためには自分は何ができるかな」「これなら、ちょっとできるんじゃないか」っていう風に考えたりすること、これが主体の形成になります。

何かをすることが大切なのではなくて、考えることが大切だというふうに理解しておきましょう。