「あるものを大切に」粟国島のおばぁちゃんの教え

おばぁちゃんの教え
粟国島でお世話になった80代後半のおばぁちゃんは、島のこと、昔の出来事、今について思うことなど、いろんな話をしてくれた。
おばぁちゃんの言葉があまりにもココロに響くので、鞄からノートを引っぱり出してひたすらメモをしていたのだが、その中で何度も出てくる言葉があった。
それは『あるものを大切に』という言葉。
小さな離島・粟国島で暮らす、おばぁちゃんの教え。
あるものを大切に
『人はなんでそんなに多くのものを求めるんだろうねぇ?』
TVから流れるニュースを観て、おばぁちゃんがポツリと口にした。
『気に入らなくなったらすぐいらない。新しいもの新しいものをほしがる。作っては壊しての繰り返し。あるものをもっと大切にせんといけんよ~』
あきれているような、少し怒っているような、そんな口調だった。
自分にも思い当たる節があったので、私は「はい」としか言えなかった。
水は宝
『今はモノもたくさんあるし便利だし、でもその分失ってしまったものも多いね。例えばよ、お水はこの島じゃ今でも貴重なものなのに、今の人はそのありがたみを忘れてしまってる気がするよ』
昔から水が乏しかったという粟国島。
トゥジと言われる凝灰岩をくりぬいて作られた大きな水がめに雨水を貯め、生活用水や飲み水にしていたそう。
また太平洋戦争時、粟国島も戦場と化した。
突然の空襲から始まり、やがて米軍が上陸。
住民たちは逃げるしかなく、食べ物は黒糖と大豆、水は草の朝つゆでしのいだとおばぁちゃんは言う。
命どぅ宝
そんな話をしていると、テレビから殺人事件のニュースが流れてきた。
それを観ておばぁちゃんはため息をつき、こう言った。
『命だってそうさ。生きてるってことがどれだけありがたいことか。人を殺すってことがなんでできる?人は人を殺すために生まれるのか?』
だまって首を横に振る私を見て、おばぁちゃんは続けた。
『命があることにまず感謝。命は宝。自分の命も、人の命も、他の生き物の命も、大切にしなさいよ~』
身近にあるものは見えにくく、あたりまえにいつまでもあるものだと思い、ありがたみを忘れてしまう。
ないないばかりでなく、あるものに目を向けること。
あるものに感謝して、大切にすること。
未来につないでいきたいおばぁちゃんの教え。
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