「いってらっしゃい」に込められた気持ちと、「いってきます」に込めた想い

「いってらっしゃい」と「いってきます」
お世話になった人のもとを離れるとき、大好きな人が遠くに行ってしまうとき、いつかまた会えると思っていてもなかなか整理がつかない。
旅の終わり、そんな心境だった私に友人は『いってらっしゃい!』と声をかけてくれた。
『いってらっしゃい』に込められたあたたかな気持ちと、『いってきます』に込めた想い。
見送りに来てくれた現地の友人
2回目のひとり旅で訪れた石垣島。
楽しい時間が終わり、帰りの飛行機に乗るため空港へ向かった。
このときの石垣空港は新空港になる前でこぢんまり。
現地で仲良くなった友人が見送りに来てくれたので、数少ないベンチを確保し、フライトの時間ギリギリまで話をしていた。
もう少しここにいたい。もう少し、もう少し…。
そう願いつつもやはり時間は待ってくれず、「保安検査場をお通りになり、搭乗口付近でお待ちください」と最終案内のアナウンスが流れた。
とうとうやってきてしまったお別れのとき。
私はバックパックを背負い、「ありがとう、またね」と言った。
「いつでも帰っておいで」
その後に友人が返してくれた言葉は『いってらっしゃい!また帰っておいで!』だった。
旅先で初めて言われた『いってらっしゃい』と『帰っておいで』の言葉に不思議な感じを覚え、私はキョトンとしてしまった。
すると友人はこう付け加えた。
『さようならは寂しいからね。お互い元気で生きていればきっとまた会える、待ってるからいつでも帰っておいでの気持ちを込めて…いってらっしゃい!』
その気持ちがうれしくて、私は「いってきます!」と言ってその場を後にした。
また会えますように、またここに来て胸張ってただいまが言えますように、そんな想いを込めて。
また会えますようにの想いを込めて
そして半年後、私はふたたび石垣島を訪れた。
あのとき見送ってくれた友人の顔を見て、ただいまと言っている。
それ以来、大好きな人を見送るときは「いってらっしゃい」、大好きな場所を離れるときは「いってきます」を使っている。
また会えますようにの想いを込めて。
- 前の記事
旅の終わりの寂しさを力に変えてくれた運転手さんの言葉 2017.03.16
- 次の記事
下甑島で水揚げされたタカエビが、わたしたちのもとに届くまでの物語 2017.04.11