海を愛する師匠が教えてくれた、海に入るときの心得

海を愛する師匠が教えてくれた、海に入るときの心得

 海を気軽に楽しめるようになった今だから、忘れずにいたい言葉

陸でたくさんの生き物が暮らしているように、海の中もたくさんの命であふれている。

『海に入るときは、お邪魔しますの気持ちを忘れるな』

海を愛する師匠は、私にそんな言葉をくれました。

海を愛する師匠

海を守る人

私が勝手に師匠と呼んでいるその人は、沖縄県の石垣島で暮らしている。

自然を愛し、その中でも特に海を愛していて、頭の中は常に海でいっぱい。

師匠と出逢ったのももちろん海。

師匠は海遊びを通して、海の楽しさ恐ろしさ、自然とのつきあい方を教えてくれた。

また、なにげない会話の中で、人としてどうあるべきかを考えさせられるフレーズや自分自身を見つめなおすきっかけをくれた。

海に入るときの心得

石垣の海

シュノーケリングをするため、師匠が海に連れてってくれたある日のこと。

ひとことでは表せない美しいブルーの海を目の前に、師匠はこう言った。

『魚や生き物たちに嫌な思いをさせないように』

私は師匠の顔を見た。

目が合って、師匠はさらにこう続けた。

『海の生き物にとってはここが暮らす場所。海に入るときは、お邪魔しますの気持ちを忘れるな』

お邪魔させてもらう…私はこれまで海にたくさん入ってきたが、そう考えたことは一度もなかった。

自分のこれまでの行動を思い返し、心から反省した。

「お邪魔しますの気持ちを忘れずに」

師匠は難しい顔をして黙り込んでいた私に『今から気をつければいい。ホラ、友達が待ってるよ!』と言って背中を押してくれた。

師匠の言う友達とは、お魚、貝、サンゴなど海の中の生き物たちのことを指していた。

お邪魔しますと心で唱え、海に入ってそっと浮き、水面から海中を覗く。

そこにはモリモリのサンゴたちと、カラフルなお魚たちがイキイキと暮らしていた。

サンゴの森

ちょっと深くなっているところを見つけたので、そこでそっと潜ってみることにした。

できるだけバシャバシャしないよう、岩にも手をつかないよう、静かに水中で待機。

そろそろ息が限界だから浮上しよう、そう思ったとき、2匹のお魚がほっぺたのわきを通り過ぎていった!

近っ!!!と目をまん丸にしながら、息継ぎのため一度浮上。

呼吸を整えて、ふたたび潜る。

イソギンチャクを見つけたのでそっと近づくと、ハマクマノミがヒュッと隠れた。

しばらくじっとしていると、彼らはふわふわイソギンチャクから出てきて、私のことを不思議そうに見つめていた。

これまでになかった感覚に感動したことを今でもよく覚えている。

サンゴと魚

師匠はその様子を見ていたようで、『仲良くなれた?』と言って微笑んでくれた。

気軽に海遊びが楽しめるようになった今。

海に入るときはお邪魔しますの気持ちを持とう。