下甑島で水揚げされたタカエビが、わたしたちのもとに届くまでの物語

目次
選別作業を体験して見えたもの
下甑島で『タカエビ(薩摩甘エビ)』の選別作業を体験させていただいた。
水深400mの深海に生息するタカエビ。
正式名称はヒゲナガエビと言い、甑島の中では下甑島の長浜港でのみ水揚げされている。
クリーミーな甘さとプリップリの食感、宝石のような姿に自然と顔がゆるんでしまう。
今回お邪魔したのは、下甑島長浜港のタカエビ漁船『鷹丸』さん。
中でも大変お世話になった船長の下野尚登さんは、作業をしながらタカエビのこと、海のこと、島のことをたくさん教えてくださいました。
(ワイルドでとてもカッコイイ下野さん、甘いものが大好物だということも知りました!)
甑島の中でタカエビの操業許可を得ている船は、現在5隻のみ。
そのうちの1隻である鷹丸さんのもとで目にした、タカエビがわたしたちのもとに届くまでの物語。
夜明け前に海へ出る
太陽が顔を出すうんと前に船は出港。
港に戻るのは、お昼を過ぎたころ。
船上での選別作業
港に戻ると、船上で選別作業が始まる。
まずはタカエビと魚に分け、タカエビはさらに大きさ別にしてゆく。
氷水で冷やす、鮮度を保つためのひと手間。
深海400mでくらしている魚たち。
ノドグロ、目光、タカエビではないエビも混ざっている。
クレーンで船からトラックへ釣り上げる
タカエビが詰まったバケツをクレーンで陸上へと釣り上げる。
バケツにチェーンをくくり付ける人、クレーンを操作する人、トラックで待ち構える人、余計なロープが引っかからないよう周りに気を配る人、抜群のチームワークでサクサク進む。
港で待つおかあさんたち
その頃、港からすぐそばの作業場では、お母さんたちがパック詰めの準備をしていた。
ひとり、またひとりと島のお母さんたちがやってきて、エプロンを身につける。
漁師さんからお母さんたちへバトンタッチ
船の上で大・中・小に分けられたタカエビを、再度確認しながらパックに詰めていく。
1匹ずつ手作業で、ていねいに。
一方で、食べやすいようにと頭ちぎり作業がされていた。
すごいスピードで、かつ、背ワタも一緒に取り除いてゆく。
一緒に水揚げされたノドグロもパッキング。
獲れたてのタカエビを求めて
こうしてパック詰めされたタカエビたちは、島内の家庭やお店へ、全国各地のファンの元へと届けられる。
選別作業の途中、タカエビを買いに来る人の姿もあった。
獲れたて新鮮なタカエビを求めてやってきて、皆、発砲スチロールやビニール袋を抱えて帰ってゆく。
今夜はお刺身だな、我が家は塩焼きにしよう、いやいやエビフライの気分だな、きっとみんなそんなことを考えているに違いない。
想いも一緒に噛みしめる
わたしたちのもとに届くまで、こんなにたくさんの物語が存在している。
命をいただいていることに感謝して、漁師さんやお母さんたちの想いも一緒に噛みしめて、いただきます。
鷹丸のみなさん、そして下野さん、ありがとうございました。
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