今度は木村泰子さんと一対一でお話させていただきました。
木村さんと言えば、大空小学校で地域や、学校の教職員が共に『子どもたちのために』という言葉を心の底から理解できている学校で当時校長をしていた方です。
それが浸透してみんなの学校という映画にもなり、今でも尚、上映会が開かれています。
むしろ、地域とともにある学校づくりの礎を作ったと言っても過言ではない取り組みだなと思っています。
みんなの学校を見たのは数年前でしたが、それでも「いつかこの人とは話しそうな気がする」と思っていたものでした。
それが話そうと思ったらなんだかんだあっさりと実現し、非常に面白い対話ができました。(あとで聞いた話ですが、なかなか連絡とれないと有名らしいです。繋いでくれた仲間に感謝ですm(_ _)m)
今回は木村さんとのお話の中で僕が感じたことをまとめていきます。
『最上位目標』はやはり大事
何のためには全員でブレないものにする
やっぱり木村さんも工藤さんと同じく、最上位目標を大切にしていました。
大空小学校の場合、『子どもの命を守るために』となっています。
命を守れれば、可能性はいくらでも広がる。
私たち、大人が追い詰めない、追い出さない、見放さない。
ここがズレると『物事が何でも良くなってしまう』。
どっちが大切ですか?という問いに『学校として』答えられる明確な軸がなくなってしまう。
その最上位目標は最初できあがらないかもしれないけど、積み上げて、協議を重ねて、何のために?を問い続けて、形にする。
そして、その形はできあがったらみんなの中に浸透させ続けていく。
何が大切かは人それぞれ価値観が違うのだけど、
学校としては統一されていること。
これがとても大切なんだと。
例えば、大空小学校でも「個人情報が〜」みたいなことは起こるみたいです。
そんな時に「先生、個人情報と子どもの命、どっちが大切なん?」って保護者が聞くそうです。
全部大切なんだけど、この全部大切が全員で一致するところにこそ、本当の最上位目標があり、それが決まって、やっと学校の当たり前は見直されていくんだなと。
最上位目標は浸透率が大事
木村さんと話した時、最上位目標は違っていいんだなと感じました。
(まぁ、元々、同じになることはあり得ないと思っていたんですが…。)
麹町中では『子どもたちの自律』を重要視していました。
大空小では『子どもたちの命』を重要視していました。
その○○小、○○中…学校ごとに何を重要視するかは違うということです。
この最上位目標を含めて、何をするか?まで決めていくのがグランドデザインというのですが、これが似通ってくるのはある程度仕方のないことではあります。
しかし、学校ごとに違っていていいし、本当に大切なのはその浸透。
何のためにを浸透させること自体が難しく、言い続けることが大切なのだと感じました。
最上位目標は子どもたちにまで浸透する
大空小ではよく出てくる子どもがいます。
みんなの学校を見てくれれば分かるんですが、その子が学校を紹介できるというエピソードを教えてもらえました。
「おっちゃん、ここや!ここに先生がおんねん!」
と職員室に案内されたおじさん。
その時、木村さんを含め、先生たちはコーヒーを飲んで休憩していました。
ずかずかと職員室を練り歩き、得意げに職員室を案内しています。
「すごいね、君は。
職員室は子どもの時の僕は来たくない場所だったんだけどなぁ…」
とおじさんが言います。
「え、おじさん。可哀想なんやな。」
「だって、ここには大空の先生たちや、僕らを守ってくれる大人がおるねん。職員室はこの学校で一番安全で一番安心できる場所なんやで。」
と子どもが言ったそうです。
実はそのおじさん。市の教育長でした。
木村さんはその時、「何言うんやろ。先生休んでるやん!って言われるかな」って内心ドキドキしたそうです。
でも、子どもたちがこの学校の良さを知っている。
しかも、先生たちや、大人が安心・安全を作ってくれていると子どもが実感できる。
こんな最高の口コミは学校にとってありません。
このエピソードは僕にとって、本当に大切なものだと感じられました。
みなさんの学校の理念は、子どもたちに届いているでしょうか?
ぜひ考えてもらえればと思います。