東海道新幹線の放火事件、本当に悲惨な事件でしたね。被害に合われたかたにはお悔やみ申し上げます。
ニュースでは専門家を交えて色々な考察や、対策を考えたりしていますね。手荷物検査するしないなどの話になっていたりします。

■新幹線の安全性のほうが際立った

新幹線の弱点を指摘していますが、被害者は出てしまったものの、新幹線はよく大きな被害を出さずに済んだという印象でした。

【今回の新幹線のすごいところ】

  • 新幹線で火災事故が発生しても燃えたのは1車両のみ
  • あれほどの速度が出ている新幹線をトンネル以外のところに止めた技術
  • 運転手がすぐさま消火器で鎮火させた(運転手はその後、緊急搬送されてしまっています……)
  • 現場検証後、すぐに新幹線を動かせた
  • (混雑はしましたが)乗客はすぐに別の車両に逃げられた
  • 緊急停止しても次の車両が突っ込まないようにした
  • 燃えにくい素材を使っているので、火は中々燃え広がらなかった

【今回の新幹線の残念なところ】

  • 火に強いが排煙が望めず、煙が充満した
  • 巻き添えの死亡者が出てしまった
  • スタッフ以外の人が避難誘導していた(被害者の桑原佳子さんとも)

今回は残念なところもありましたが、新幹線のすごさのほうが際立っていました。しかし、それでも被害者は0にはできませんでした。
そもそも加害者のやっていることは常軌を逸した行動です。そのため、防ぐことはほぼ不可能に近いと言ってもいいかもしれません。
手荷物検査をすれば良いとも言いますが、それでは新幹線の利便性が失われてしまいます。どんなに簡単な手荷物検査であっても乗客全員の手荷物を検査するのであれば窓口の数にもよりますが1時間くらいはかかるはずです。そのため、今のように切符を買ってすぐ乗れる、早く着くというメリットがなくなります
簡易な手荷物検査であっても人件費がかかるので、今の値段では収まらなくなります。そこも問題です。

■加害者の背景にも注目したい

加害者がどうしてこのような事件を起こしてしまったのかにも注目しておいたほうが良いと思います。行動の裏には必ずこのような事件を起こす動機があるからです。
加害者の場合は、社会に対する絶望でした。周囲の人の話では「真面目だった」という話。パチンコもやっていたようですが、最近の話のようです。

  • 年金だけでは暮らしていけない。
  • 離婚して30年以上経過、身寄りもいない。
  • 仕事もできない身体になってしまった。
    (多分、できる仕事もあったとは思いますがそういう精神状態ではなかったのかも)
  • 歌手になりたいという夢は叶えることができなかった。
  • 他人に金を借りてまで生きている。

このように八方ふさがりのような絶望を味わっています。真面目な人ということなので、他人から金を借りるのにも申し訳ないという心理があったのかもしれません。
この事件は単なる自殺ではありません。言うなればテロに近いものだと思います。「テロは起こるもの!」と言って対策するのは間違いではありません。しかし、無理なものを無理に対策しようとすれば周りにシワ寄せが行きます。次のテロを生み出し兼ねないと思います。

テロを起こさない社会

本当に「大事なのはテロを起こさないような社会を作ること」ではないでしょうか?
本当の安全は社会、そこに生きる人、双方が平和だからできるもの。そこを崩そうとする人がいればどんな安全だって崩れます。手荷物検査も新幹線に限った話ではありません。それを言ったら普通の電車だって起こりますし、バスも、タクシーも起こる可能性は出てしまいます。
もちろん、この加害者を擁護する気はありません。死に場所を探してこんなことをした。社会にこんなに真面目に生きてきたのに最終的に絶望を味わったということを伝える。それにしても他人を巻き込んで良い訳がありません。
多分、それすらももう考えられない精神状態だったのかもしれませんが、安全にするための設備を作るのが大事ではなく、安全を作るための社会にすることが一番大事な点ではないでしょうか?